社会保険は大きな定義では、医療保険・年金保険・雇用保険・労災保険・介護保険です。この中で、労災保険と介護保険は強制加入(労災保険料は全額会社が支払う)ですが、医療保険、年金保険、雇用保険は働くスタイルによって加入するかしないか、またどの保険に入るかが変わってきます。それでは、フリーターアルバイトが社会保険に加入した場合、どのように変わってくるのでしょうか。そのメリットも併せて今回は解説します。

メリット1:失業保険がもらえる

フリーターやアルバイトが仕事を辞めた場合、いきなり収入がなくなるというメメージをお持ちの方も多いでしょう。しかしながら、社会保険の一つである雇用保険に入っていると、正社員が辞めたときと同じように失業保険がもらえるのです。

もちろん全員がもらえる訳ではなく、ある程度の労働時間と期間が必要です。以下のように定められています。

  • 過去2年間で11日以上働いた月が通算12ヶ月あること

これではちょっとわかりづらいので具体的な例を挙げると、週3回、1年間働いていれば失業保険がもらえるのです。正社員や契約社員よりもフリーターやアルバイトは雇用が不安定なので、雇用保険に入るメリットは大きいといえます。

メリット2:健康保険は国民健康保険よりお得

どちらも似たような名称ですが、内容はかなり違っています。一番の違いは保険料の負担です。国民健康保険料は全額自己負担なのに対し、健康保険料は半分会社が負担してくれるのです。

給付が厚い分保険料自体は、健康保険の方が高いのですが、半額負担なので国民健康保険料より低くなる場合が多くなります。ただし、収入によって高くなる場合もあります。

給付が厚い具体的な例は「傷病手当金」があることです。これは業務外でのケガや病気で働けなくなったときにお金をもらえるという制度です。収入保障保険のようなものと考えてください。

給付額はおおよそ月収の2/3です。しかも税金がかかりません。最長1年6カ月支給されるので、かなり手厚い制度と言えます。ちなみに業務で生じたケガや病気の場合は労災保険からお金がもらえます。こちらは会社が全額負担の強制保険で、たとえ1日だけのアルバイトでも加入対象になります。

メリット3:厚生年金は国民年金よりお得

国民年金保険料は全額自己負担ですが、厚生年金保険料は半分会社が負担してくれます。健康保険と同じです。さらに国民年金より将来もらえる年金額が増えるのです。

国民年金だけだと、満額で約80万円しかもらえませんが、厚生年金に入るとそれに上乗せがあるのです。将来の備えとして非常に有利な制度と言えます。

社会保険に加入する要件

ここまで、社会保険に入るメリットを説明してきましたが、フリーターやアルバイトであっても全員が社会保険に入れるかといえば、そうではありません。

雇用保険の場合、週30時間以上働いていれば加入できます。健康保険・厚生年金の場合は正社員の労働時間のおおむね3/4以上ということになっています。正社員が週40時間労働なら40時間×3/4=30時間なので、雇用保険の要件とほぼ同じです。

また、健康保険・厚生年金の場合は勤務先が従業員501人以上の大企業なら、週20時間、月収8万8千円以上で加入できます。なお、健康保険と厚生年金はセットになっており、どちらか片方のみの加入はできません。

まとめ

社会保険に入ると、働くうえでの様々なリスクに対する保障が充実し、将来の年金額も増加します。さらに保険料の半分を会社が負担してくれます。しかしながら、収入によっては手取りが減る場合もあります。

ただし、総合的に考えるとメリットの方がはるかに大きいので、加入要件に該当するなら社会保険に入るべきです。