雇用保険と言ってもピンとくるかたは少ないかもしれませんが、失業保険といえば認知度は高くなります。しかしながら、雇用保険は失業の時だけに役立つ保険ではありません。それではいったいどんな保険なのかを今回は解説します。

雇用保険は働く人をサポートする保険

雇用保険とは、会社に雇われて働いている人を守るための保険です。よって、自営業の人や経営者は加入することができません。雇用保険で有名なのは失業保険ですが、これは会社を辞めたときに収入を保障してくれる保険となっています(正式には「失業保険」という用語は存在せず、「求職者給付」と呼びます)。

ただし「雇用保険=失業保険」ではありません。雇用保険にはその他の保障もあります。例えば、育児介護で仕事を一時的に休まざるを得なくなったときの収入を保障してくれる給付があります。

あるいは、定年退職をして、再雇用の際に収入が大きく下がった場合、それをある程度補填してくれる給付もあります。

その他、就職のために引越しが必要なときの給付、スキルを身につけてより良い条件の会社に勤めるのを助けるための給付など、「働く」ということに付随するいろいろな給付があるのです。

雇用保険には誰が加入できるか

雇用保険に入るには、まず勤めている会社が雇用保険に入っている(適用事業所)である必要があります。といっても、小さな個人事業で一定の条件以外の会社は「強制加入」となっています。理由はどんな会社で働いていても、労働者の権利を守るためです。

適用事業所に雇われている社員であれば雇用保険に加入できます。ただし条件があり、週20時間以上の労働時間で、かつ1カ月を超えて働く見込みのある社員に限られます。逆に言えば、この条件を満たせば、パートでもアルバイトでも雇用保険に入ることができるのです。

正社員、契約社員、パート、アルバイトという区分ではなく、雇用保険はあくまで働く期間、働く時間、給料を基準に保障が決まるのです。

雇用保険の主な給付

雇用保険には様々な給付がありますが、パートやアルバイトにとって特に重要な給付を3つご紹介します。これらの給付を自動的にはもらえず、請求しないといけないので、こういった給付があることをまず覚えましょう。請求の方法はハローワークや会社が教えてくれます。

1.求職者給付

一般的に失業保険と呼ばれているものです。失業すると給付を受けることができます。給付の期間・給付額は、就労期間・貰っていた給料・辞めた理由によって異なります。自己都合で辞めた場合には3カ月の待期期間の後でないと、受給することができません。

自己都合でやめたときの給付日数

就労期間 1年未満 1年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
給付日数 0日(不支給) 90日 120日 150日

会社の都合で辞めた場合、例えば解雇や会社の倒産の場合は、これより長い期間(最大330日)、求職者給付を受給することができます。

2.育児休業給付

子どもが1歳になるまで(保育所に入れない場合は1歳6カ月)の間、仕事ができず収入が無かったり、少なくなったりした場合にもらえる給付です。給付額は直前に貰っていた給料や育児休業中の賃金によって異なります。女性だけでなく男性も請求することができます。

3.介護休業給付

給付を受ける期間は通算で93日です。家族を介護するために会社を休業した場合に支払われる給付金です。支給額は給料によって決まりますが、原則として給料の40%が給付金として支給されます。

まとめ

今回は主な3つの給付について解説しましたが、他にも給付は多々あります。それが制度を難解なものにしているというのは否めません。難しいので、仕事で困ったことがあれば、雇用保険のプロがいるハローワークに相談に行くことをおすすめします。