厚生労働省によると、2016年の国民年金の納付率は65.0%(免除・猶予を除く)です。30%以上の人が支払っていないのだから、自分も支払わなくて大丈夫、と思うかもしれません。しかしながら、厚生労働省は国民年金保険料の納付率に本腰を入れています。最悪の場合、財産差し押さえ、ということもありうるのです。

どのくらいの未納なら見逃してくれるか

結論から言えば、どんな未納も見逃してくれません。ただし、財産差し押さえまで執行されるのは悪質なケースに限られます。所得があるにもかかわらず、国民年金保険料を支払わない人です。基準は以下の通りです。

  • 年間所得が300万円以上、13カ月以上の滞納
  • 年間所得が350万円以上、7か月以上の滞納

この基準に当てはまると、財産差し押さえまでのカウントダウンがはじまるのです。

差し押さえまでの流れ

未納すると、いきなり差し押さえされるわけではありません。何段階か猶予をもって催促がなされ、それに従わないと財産の差し押さえが執行されます。財産の差し押さえは本人だけでなく、配偶者や世帯主の財産も差し押さえられるので、周りにも迷惑をかけることになります。

第1段階:特別催告状

特別催告状は、このまま支払いを放置すると、財産を差し押さえるという最初の警告文です。納付するか、年金事務所に連絡をしないと数回届きます。特別催告状と並行して、年金事務所が委託した民間業者からの催促の電話もかかってきます。

未納から2年経過していない場合は、納付書がそのまま使えるので、それを使って納付が可能です。延滞金もつきません。あくまでも自主的に支払ってくださいという趣旨です。

第2段階:最終催告状

特別催告状を無視すると、最終催告状が届きます。この段階で勤務先や取引先に年金事務所から調査が入ります。銀行口座等、財産についての調査も入ります。自主的な納付を促す最後の段階です。延滞金のかからない最後の段階です。

第3段階:督促状

勤務先、取引先、財産などの調査が終わり、支払い能力があると判断されれば、この段階で自分の銀行口座が凍結される場合があります。督促状に記載された期限までに保険料を支払わなかった場合は、年率3.8%〜14.6%の延滞金が発生します。自主的な支払の段階は過ぎて、払いなさいという命令です。

最終段階:差押予告と財産差押

差押予告には差し押えの日が書いてあります。納付の期限も書いてあり、それまでに納付すれば差し押さえにはなりません。納付期限までの保険料納付が、差し押さえを回避する最後のチャンスです。無視すると予告通り、差し押さえが実行されます。

差し押さえを防ぐには?

特別催告状が届いた段階で保険料を納付するのがベストです。納付ができなければ、年金事務所に出向いて相談です。持ち物は本人確認書類と年金手帳ですが、場合によっては給与明細などの収入証明が必要なので、前もって電話をしておくと二度手間にならなくて済みます。

解決方法は3通りあります。

  1. 未納分を分割払い
  2. 条件によって支払猶予
  3. 条件によって支払免除

支払える場合は支払いなさい、というのが厚生労働省の立場なので、未納分を支払う解決方法が優先されます。それが出来ない場合、支払を先に延ばす支払猶予、先に延ばしても支払が難しい場合は支払免除という解決方法になります。

もっとも、国民年金保険料の支払い能力があるにも関わらず支払っていない人が対象なので、支払猶予や支払免除になるケースは多くはありません。

まとめ

厚生労働省のデータによれば、平成28年4月から平成29年3月までの財産差し押さえ件数は13,962件です。決して他人事ではありません。国民年金保険料の未納は自分の家族にも、勤務先や取引先にも迷惑をかけます。逃げ切れるものではないので、きちんと納付しましょう。