国民年金は20歳以上のすべての人が加入する義務があり、学生もその例外ではありません。ただ、経済的な理由で学生時代に国民年金保険料を払うことができなかった人が多いのも事実です。そんな人のために、遡って国民年金保険料を納める制度がありますので、今回ご紹介します。

未納分の支払いは原則2年前まで

未納になっている保険料をを遡って支払うことを後納といいますが、法律上は2年しか遡れないことになっています。つまり、学生から社会人になって3年目になると、もう支払うことができないのです。

ただし現在は特例が施行されており、平成30年9月30日までは5年前までは遡って支払えるように、条件が緩和されています。これは「5年の後納制度」と呼ばれます。

平成30年9月30日といえば、あと1年も期間が残されていないので、2年以上前に卒業して、その時国民年金保険料を払っていない方には是非と活用していただきたい制度です。

後納保険料を納める方法

未納保険料を納付するためには、後納保険料納付の申込書に必要事項を記入して、年金事務所に提出する必要があります。なお、申込書は日本年金機構ホームページからダウンロードできます。

後納することによって年金額が増えたり、年金の受給資格が得られる場合には、本人宛に後納納付書が送付されます。納付書が届いたら、コンビニエンスストア等で保険料を支払って納付することができます。

なお、3年以上前の保険料を納付する場合には保険料額に加算金(利息のようなもの)がかかります。

後納保険料は一括払いだけではなく分割払いもできるので、分割を希望する場合には年金事務所に相談してください。

未納保険料を支払わないとどうなる?

保険料を納めないと、その分将来受け取る年金が少なくなります。国民年金の加入期間は20歳から60歳なので、40年で満額支給ですが、それより少ないと、その割合に応じて年金が少なくなるのです。
例えば、年金の満額が80万円、加入期間が20年だとすると

  • 80万円×20年/40年=40万円

ちょうど半分です。

また、10年未満の加入期間では、年金は0円となります。国民年金は10年以上加入しないと受給資格を失うのです。未納が積み重なると、老後の保障が無くなってしまうのでよほどの生活上の問題が無い限り、保険料を支払う必要があるのです。

どうしても保険料の支払いが困難な場合

未納保険料を猶予することはできませんが、生活が苦しい等の理由でどうしても保険料が納められないときはどうすればよいのでしょうか。そんな時のために、支払を減らしたり、一時的に猶予する制度があります。そのまま支払わないと未納になってしまうので、制度を活用しましょう。以下の方法があります。

制度 要件
免除制度(一部免除もあります) 前年の所得が一定額以下の場合や失業や経済的な理由により保険料を納めることが困難な場合
納付猶予制度 50歳未満でかつ経済的な理由で納めることが困難な場合
学生納付特例制度 学生で保険料を納めることが困難な場合

この制度で保険料を納めなかった場合は、将来10年以内であれば、遡って支払うことができます。

  • 未納:原則2年以内、平成30年9月30日まで5年以内
  • 免除・猶予:10年以内

学生時代の未納分をまず支払って、今の保険料は制度を活用して猶予や免除するというのも国民年金保険料を納める賢い方法です。免除の種類は4分の1免除、半額免除、4分の3免除、全額免除があります。どの免除になるかは収入によって異なります。

まとめ

未納の場合、遡って支払える期間は意外に短いことが分かりました。5年というのはあくまで特例で本来は2年以内です。今後また保険料の支払いが厳しくなったときには、支払を延期する制度を活用しましょう。年金は老後のための大切な資産です。