会社からの給料が減ったり、失業したりして国民年金保険料を払う余裕がない!そんなときに是非利用したいのが国民年金保険料免除制度です。どんな場合に国民年金保険料が免除されるのか、デメリットはないのかを解説します。

国民年金保険料免除制度とは?

国民年金保険料免除制度とは、冒頭で述べた通り収入が少なくなったり、失業したりして保険料の納付が困難になった人の保険料を免除する制度です。免除される割合は4通りあります。

  • 全額免除(全く保険料を払わなくていい)
  • 4分の3免除(4分の1保険料を支払う)
  • 2分の1免除(2分の1保険料を支払う)
  • 4分の1免除(4分の3保険料を支払う)

免除期間は、年金を受け取る為に保険料を納めている期間に参入されます。この期間は受給資格期間と呼ばれます。年金を受け取るには10年以上の受給資格期間が必要です(平成29年8月にそれまでの25年以上から改正)。

免除のための条件は?

4種類の免除にはそれぞれ所得制限があります。実際にシミュレーションして、年収の目安を見ていきましょう。計算式に出てくる「扶養親族等控除額(ふようしんぞくとうこうじょがく)」は、2017年度は38万円です。「社会保険料控除額等」は、実際に支払った健康保険料や介護保険料、国民年金保険料などです。

家族構成は夫婦2人(夫が妻を扶養)、社会保険料控除額等は36万円(月々3万円)とします。

  • 全額免除
    (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
    (1+1)×35万円+22万円=92万円
  • 4分の3免除
    78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
    78万円+38万円+36万円=152万円
  • 半額免除
    118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
    118万円+38万円+36万円=192万円
  • 4分の1免除
    158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
    158万円+38万円+36万円=232万円

シミュレーションの結果、免除を受けられる年収は次のようになります。

  • 全額免除:年収92万円以下
  • 4分の3免除:年収152万円以下
  • 半額免除:年収192万円以下
  • 4分の1免除:年収232万円以下

なお家族構成、社会保険料控除額等により、シミュレーションの結果は異なります。

免除のメリットは?

免除のメリットはなんといっても、保険料を支払わなくても支払ったことになることです。ただし全額支払ったことにはなりません。

納付したことになる保険料

  • 全額免除場合は「1/2」
  • 4分の1納付の場合は「5/8」
  • 2分の1納付の場合は「6/8」
  • 4分の3納付の場合は「7/8」

例えば全額免除の場合だと半分を支払ったことになり、それが将来の年金額に反映されるのです。

免除のデメリットは?

免除の最大のデメリットは、全額支払ったことにはならないので将来の年金額が減ってしまうことです。例えば平成29年度の年金額は780,096円ですが、年金に加入する20歳から60歳までずっと全額免除だったとすると、半分の390,048円になってしまいます。これは極端な例ですが、免除された分は必ず年金額が減るということです。

それを防ぐために、後から遡って免除された保険料を納めることができます。追納(ついのう)という制度ですが、遡って支払える期間は10年前までなので注意が必要です。また、遡って支払う際には加算金といって、月々100円~200円余分に支払わなければなりません。

未納だけは絶対にNG

国民年金保険料を支払うのが苦しいからといって、催促状を無視して未納することだけは絶対にしてはいけません。最悪の場合、財産差し押さえということになります。

また、年金というと年を取ってからもらえるものと思いがちですが、障害年金遺族年金という年金もあり、未納期間が多いともらえない可能性があります。
例えば障害年金がもらえる資格は

  • 障害のため病院を受診した以前の年金加入期間で2/3以上の期間が納付か免除
  • 障害のため病院を受診した以前、直近1年間保険料を滞納していない。

少しわかりづらいですが、国民年金の加入期間のうち1/3以上が未納であったり、過去1年間に滞納期間があったりすると障害年金をもらえないのです。保険料を支払っていないのだから保険が下りない、という理屈です。

将来どうせもらえないから、というのはよく聞く意見ですが、国民年金はもしかしたら明日起こる事故のための保険機能も兼ね備えているのです。

まとめ

以上、国民年金保険料の免除について述べました。シミュレーションで示したように、きめ細やかな免除制度があります。もちろん免除された分は年金額が減るのですが、また支払えるようになれば遡って支払えばいいのです。支払えないから目をつぶって無かったことにするのではなく、支払えないからこそ、市役所の窓口に相談に行くのが最善の選択だということです。