労災とは、仕事をしていたことが原因で、ケガ・病気・障害・死亡に至った場合です。それを補償するのが労災保険なのですが、アルバイトフリーターでも加入することができるのでしょうか?

会社に雇われれば労災保険に強制加入

会社は人を一人でも雇ったら、労災保険の手続きが必要です。すべての労働者が加入しなければいけないので、アルバイトでもフリーターでも例外ではありません。1日でも働くのなら労災保険に加入する義務があるのです。

労災保険料は全額会社負担で被保険証もないので、労災保険に入っているという感覚がない人が多いのも頷けます。

他の社会保険は労働時間によって加入したり加入しなかったりの区別があるのが労災保険との違いと言えます。

  • 雇用保険:週に20時間以上
  • 健康保険・厚生年金保険:正社員の労働時間の4分の3以上

なぜ労災保険は強制加入なの?

労災が起こった場合、本来なら会社がその補償をしなければなりませんが、それを無視して補償しないケースがあります。また、会社の経営が傾いていて、補償するお金がなかったり、最悪の場合倒産したりすると補償を受けられなくなるのです。

そんなことにならないように、労災保険を強制加入にして万が一に備えて労働者を保護しているのです。

どんな種類の給付があるの?

それでは、労災保険の給付にはどんな種類があるのでしょうか。全部書き出すときりがないので、代表的なものを4つ紹介します。非常に補償が手厚いことに驚かれる方も多いかもしれません。

1.療養補償給付

仕事が原因でケガや病気になったとき無料で治療が受けられます。治療費だけではなく入院費、移送費(タクシー代)など療養に必要な経費も含まれます。期限はケガや病気が治るまでです。

2.休業補償給付

ケガや病気のために働けず、給料がもらえない場合に給付金が支給されます。おおむね給料の80%です。ケガや病気が治って働けるようになるまで支給されます。また、少しでも働けるようになって給料がもらえるようになれば、その分は相殺されます。

3.障害補償給付

ケガや病気が治っても、身体に一定に障害が残ってしまった場合に支給されます。障害の重さによって給付金が変わります。障害が重いと年金が給付され、軽いと一時金が給付されます。

4.遺族補償給付

不幸にも死亡した場合、その遺族が受給することができます。残された遺族の人数によって年金が変わるのが特徴です。年金の受給権者は被災労働者が死亡した当時、その収入によって生計を維持されていた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹です。

受給権者がいない場合は同一生計でない身内の人に一時金が支払われます。

通勤途中や帰宅途中のケガも補償される

労災保険は仕事に起因するケガや病気を保障する保険です。よって、仕事のための通勤も補償の範囲内になるのです。これを「通勤災害」といいます。給付の名称だけ変わってきます。

たとえば「療養補償給付」は「療養給付」と呼ばれ、「補償」という用語が無くなるのです。ただし、補償内容は仕事中に起きたケガ等とほとんど変わりません。

通勤途中の駅の階段で転んで骨折した場合でも、労災保険は支給されるので、会社に申告してください。

ただし、帰宅途中に友人と食事して、その後帰宅中にケガをしてもそれは通勤とは見なされないので労災保険の対象外です。

労災保険の手続きは会社がしてくれる

仕事以外の理由で病院に行くときは保険証を持っていくだけで済みますが、労災で病院にいくときはそう簡単ではありません。労災であることを記した会社が書いた証明書が必要なのです。大きい会社なら人事部に聞けば必要書類を送ってくれるので、その指示に従いましょう。

まとめ

他の社会保険の場合は加入資格が若干複雑ですが、労災保険の場合はたった一つ「会社に雇われて働いている」ことだけです。仕事中のケガや病気はないに越したことはありませんが、万が一の時は、自分が労災保険に入っていて、保険給付を受ける権利があることを思い出しましょう。