病気をしないから保険は要らない、いざとなったら自分で全額支払った方が得。そう思うかたも多いですが、その理屈は日本では通用しません。
国民皆保険といって、必ず健康保険(協会けんぽや組合保険など)か国民健康保険に加入しないといけないのです。
加入するということは、保険料を支払うということですが、決して安い金額ではありません。
それでは保険料が支払えない、あるいは支払えるけど意図的に支払わないとどうなるのでしょうか?
1.督促状(とくそくじょう)が届く
国民健康保険料を支払わないと、督促状が郵送でとどきます。期限が書いてあり、この日までに支払ってください、というものです。支払えない場合は役所の窓口に来てください、ということも書いてあります。
これを無視すると、電話がかかってきます。再度文書が送られてきます。それでも無視すると、役所の担当者が家に訪問してくる、という流れになります。
2.延滞金が課せられる
納付期日の翌日から延滞金が発生します。延滞金の利率は自治体によって異なります。例えば、大阪府茨木市では以下のようになっています。
- 納付期限後1カ月:年率2.7%
- 1カ月以降:年率9.0%
長く延滞すればするほど、納めなければならない保険料が増えていきます。
3.保険証が使えなくなる
督促状が届いて半年以上放置すると、保険証が使えなくなります。引き続き保険給付を受けるためには自治体の窓口で、有効期限が1カ月~6カ月の「短期被保険者証」の交付を打いけなければなりません。
自己負担は3割のままです。保険料を支払って滞納が解消されれば、通常の保険証に戻ります。
4.病院窓口で全額負担になる
納期限から1年を過ぎると、短期被保険者証が使えなくなります。代わりに被保険者資格証明書が発行されます。被保険者資格証明書では病院窓口では全額負担になります。
申請すれば後から7割は戻ってきますが、一時的にでも全額負担になるのは大きな出費となります。
5.保険給付の停止
滞納期間が1年半を超えると、保険給付が停止されます。つまり、本当の意味での全額負担になるのです。
病院の窓口で負担した金額の7割のお金が戻ってくることはありません。その7割は滞納分に充てられるのです。
6.給与が差し押さえられ、銀行口座は凍結する
強制的に保険料を徴収される段階に入ります。会社に差押えの通知が送られ、国民健康保険料の延滞がバレます。銀行口座を凍結されれば一切現金が引き出せなくなります。
たかが国民健康保険と甘く見てはいけないのです。
保険料が支払えない場合の対処法
他に借金があって、もう返済の目途が立たないから自己破産しよう。そういった選択をする方もいます。しかしながら、税金や健康保険料などの公金は、自己破産しても免責が下りないのです。免責とは、支払いをしなくてもいいということです。
自己破産をしても国民健康保険の支払いから逃れることはできません。ではどうすればよいのでしょうか?
1.減額・軽減・減免制度を利用する
収入が低い場合は、国民健康保険料を安くすることができます。例えば、大阪府高槻市の場合だと、以下のようになっています。
- 7割軽減:33万円
- 5割軽減:33万円+27万円×(被保険者数+特定同一世帯所属者数)
- 2割軽減:33万円+49万円×(被保険者数+特定同一世帯所属者数)
最大7割保険料が軽減されるのです。
また、会社が倒産したり、地震や火事などの災害に遭ったりすると、納付期限前であれば、「減免」という制度を利用できます。大阪府高槻市の場合だと納期限の7日前です。
減免が認められると、収入の減少の割合に応じて1割〜10割の保険料の軽減を受けられます。
2.無料低額診察制度を利用する
生活に困窮していて、とてもじゃないけど保険料が支払えない、支払えるようになる見込みがない場合もあります・そんなときは、無料低額診察制度を利用するという方法があります。
厚生労働省が「生活困窮者」としている人がこの制度を利用できます。例えば以下のような人です。
- 低所得者
- ホームレス
- DV被害者
まとめ
国民健康保険料は必ず支払わなければいけません。支払えるのに支払わないといざというときに大きな負担を被ることになります。
どうしても支払えない場合は自治体の窓口に相談すれば解決の方法はあります。支払いを放置していていいことは何一つありません。
払えるなら払う、支払いが厳しければ相談する。これが基本です。