老後夫婦2人暮らしに必要な生活費は、総務省統計局によれば月額約27万円と言われています。それに対して、夫婦2人が満額で国民年金を受給しても月額は約13万円です。生活費が月額14万円(27万円-13万円)不足してしまいます。その不足を補う制度が国民年金基金です。この制度は、一定の条件の主婦でも加入できるのです。

国民年金基金とは

国民年金基金とは、自営業者とその妻の老後の年金を増やすための制度です。会社員は厚生年金という、国民年金の上乗せとなる年金に加入していて、将来厚生年金からも年金が支給されます。国民年金と厚生年金、両方を貰うことができるのです。

一方、自営業者は会社員のような国民年金とは別の年金制度に入っていないので、老後国民年金しかもらえません。しかし、国民年金だけだと老後生活資金が不足するので、払えるうちにお金を払って、老後の年金を自分で増やす制度として国民年金基金があるのです。月々払うお金を掛金(かけきん)と言い、将来もらえるお金を給付金(きゅうふきん)といいます。

つまり老後の年金は

  • 会社員:国民年金+厚生年金
  • 自営業者:国民年金+国民年金基金

ということです。違いは厚生年金が強制加入であることに対し、国民年金基金は自分の意志で入るかどうか決める任意加入であることです。

国民年金基金に加入できる主婦

自営業者のための制度なので、自営業者の妻も国民年金基金に加入することができます。自営業者の妻は自分自身の国民年金保険料を納めています。国民年金基金に入る資格は国民年金保険料を納めている人なのです。

一方、会社員の妻は、夫の厚生年金の扶養に入っています。扶養に入れば国民年金に加入できますが、自分の保険料を納める必要がありません。保険料を納めていないので、国民年金基金に入る資格がないのです。

自分で保険料を払っている人を第1号被保険者、払っていない人を第3号被保険者といいます。国民年金基金に入れるのは第1号被保険者だけです。

国民年金基金に入るメリット

自分で将来にもらえる年金を増やせることが最大の目的でありメリットです。

例)40歳女性が加入した場合の掛金給付金(掛金の支払いは60歳まで)

  • 月々の掛金 20,930円
  • 給付金 117,900円

国民年金の金額は約80万円です(40年間保険料を納めた場合)。国民年金基金に加入すると、国民年金に加えて117,900円の給付金がもらえるのです。

  • 約80万円(国民年金)+117,800円(国民年金基金)=約90万円(年間もらえる金額)

掛金は全額所得から控除されるので、支払う所得税・住民税も安くなります。控除とは、例えば妻の年収が200万円で、年間の掛金が30万円だったとすれば、200万円に所得税・住民税がかかるのではなく170万円(200万円-30万円)に対して税金がかかるということです。

  • 控除される前の所得:200万円
  • 控除された後の所得:170万円(300万円-30万円)

それぞれ200万円。170万円が税金を計算する際のベースになります。ベースの金額が少ないとその分税金が安くなるのです。

民間の個人年金の場合は最大40,000円の控除なので、税金に関して非常に有利になっています。

国民年金基金に入るデメリット

大きく分けて、2つのデメリットがあります。

1つ目は、原則途中で解約できないことです。ただし、どうしても月々の支払が苦しいときは、掛金の減額や支払い猶予ができます。よって届け出をすれば、延滞になって、ペナルティを受ける制度ではありません

2つ目は、年金は物価が上がれば年金額も増える仕組みになっていますが、国民年金基金の給付金は当初決められたままであることです。

まとめ

主婦が国民年金基金に入るメリットは、国民年金にプラスして自分で年金を作れることです。税金の上でも優遇されています。夫と2人で国民年金基金に入れば、どちらかが不幸になった事態になっても、自分の年金と国民年金基金の給付金で備えることができます。国民年金基金は自分の老後の生活を安定させるための、役に立つ制度の一つです。