国民年金の満額受給額は年間約80万円です。夫婦2人だと160万円で1か月に換算すると約13万円です。

決して余裕のある生活ができるとは言えない金額です。この国民年金を増やす制度として国民年金基金があります。少し難しい制度ですが、わかりやすく解説します。

国民年金基金とは

 

会社員は国民年金に上乗せして厚生年金を貰うことができます。報酬比例部分(ほうしゅうひれいぶぶん)といって、現役時代に貰っていた給料に応じて年金が加算されるのです。いわば、国民年金と厚生年金の2階建てになっているのです。

一方、自営業者は国民年金しか受給できません。それだけだと会社員との差が大きくなるので、その差を埋める制度として国民年金基金があるのです。自分で国民年金基金に掛金を支払って、国民年金の2階建て部分を作るのです。

よって、加入資格は自営業者です。会社員の妻は夫の厚生年金の扶養に入って国民年金に加入していますが、加入資格はありません。対象はあくまでも自分自身で国民年金保険料を払っている人です。

また、国民年金保険料が未納であったり、免除を受けていたりする人も加入することができません。

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  • 会社員:国民年金+厚生年金
  • 自営業:国民年金+国民年金基金

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年金はこのような仕組みになっています。

安心できる老後の為の制度

医療の進歩により、寿命は年々伸びています。男性だと約85歳、女性だと90歳です。

国民年金は満額で年間80万円、夫婦だと160万円と説明しましたが、老後の生活費には年間300万円ほどは必要と言われています(国民年金基金公式ホームページより)。受け取る年金との差額が140万円発生してしまいます。

自身の貯金と年金だけでは生活費が足りなくなる可能性があるので、国民年金基金はその不足分を埋める重要な制度なのです。

国民年金基金の種類


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  • 終身型年金
  • 確定年金

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この2種類に分かれます。終身年金は亡くなるまで、確定年金は決まった期間(5年~15年)もらえる年金です。

国民年金の掛金は口数で加入することになっており、最初の1口目は終身年金を選ばなければなりません。2口目からは確定年金も選べます。

具体的な掛金と給付額

国民年金基金の特徴は、加入するときの年齢・性別によって支払う金額(掛金)ともらえる金額(給付金)が決まることです。掛金とは国民年金基金に支払う毎月の保険料、給付金は将来国民年金の上乗せでもらえる年金と言い換えることもできます。

  • 年齢:若いうちに加入すると多く掛金を払うから、多くもらえる
  • 性別:女性の平均寿命は長く、多くもらうことになるので掛金が高い

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年齢・性別を比較するために3つ具体例を挙げます。

  1. 30歳男性が加入した場合:掛金 10,170円 月額給付額 2万円
  2. 40歳男性が加入した場合:掛金 12,405円 月額給付額 1万5千円
  3. 40歳女性が加入した場合:掛金 14,490円 月額給付額 1万5千円

(※遺族給付金の特約が付いている終身年金A型の場合・掛金と月額給付金は1口目)
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  • 年齢での比較(30歳男性と40歳男性)
    掛金:12.405円(40歳)-10,170円(30歳)=2,250円
    30歳男性の掛金が2,250円安くなっています。
    月額給付金:2万円(30歳)-1万5千円(40歳)=5千円
    30歳男性の月額給付金が5千円高くなっています。
  • 性別での比較
    掛金:14,490円(女性)-12,405円(男性)=2,085円
    月額給付金:どちらも1万5千円
    40歳女性は40歳男性より掛金が2,085円高くなっています。月額給付金は同じです。

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税制上のメリット

たとえば年収400万円で国民年金基金の掛金が年額30万円の場合、所得税・住民税の合計で約9万円負担が少なくなります。そうすると国民年金基金の掛金は実質21万円(30万円-9万円)になるのです。

民間の個人年金では最大で年間4万円までの控除なので、民間に比べてかなり有利になっています。

加入の際の注意点

注意点として、いったん加入したら中途解約ができないことが挙げられます。国民年金基金は加入者1人1人が支払うお金(掛金)の中から将来お金(給付金)を受け取ることができる仕組みです。よって中途解約を認めてしまうと、基金全体に集まるお金が減り安定した給付が出来なくなるからです。

つまり“制度そのものの崩壊”につながるということです。どうしても支払いが困難になった場合、掛金の減額や払込の一時中断はできるようになっています。

まとめ

会社員は天引きで国民年金の2階建て部分を自動的に作れるけれど、自営業の場合は自分で2階建ての部分を作らなければいけません。それを助ける制度が国民年金基金なのです。