終身雇用というのはとっくに崩壊していて、転職をすることが珍しくなくなってきています。その時に重要なのが失業保険です。次の仕事が決まっている場合はいいですが、決まっていないとき、生活を支える基盤となります。その失業保険、退職事由によってもらえる金額がずいぶん変わってくるのをご存知でしょうか。今回は会社都合と自己都合の違いについて解説します。
会社都合退職とは
会社の経営不振や業務縮小等を原因とした退職は、会社都合退職となります。会社が移転して、通勤時間が4時間以上かかることになった場合や給料が極端に低くなったときも含まれます。
また、勘違いしやすいのが退職勧奨・希望退職で、これは会社都合なのです。自分で手を上げたから自己都合と思って手続きをしてしまうと、もらえる失業保険が半分以下に減ってしまうこともあるので注意が必要です。
自己都合退職とは
転職や家庭の都合を理由に自分の意志で退職した場合は基本的に自己都合退職となります。
会社都合と自己都合の失業保険
会社都合の場合は7日間の待期期間後、すぐに失業保険が貰えます。失業保険の期間は自己都合に比べて長い期間になっています(90日〜330日)。なお、待期期間とは本当に失業しているか、あるいは退職の事由が正しいか判定する期間です。
自己都合の場合は7日間の待期期間後も、3か月間は失業保険が貰えません。これを給付制限と呼びます。自分で辞めたことに対するペナルティのようなものです。会社都合に比べて失業保険を貰える期間も短くなっています(90日〜150日)。
まとめると下の表のようになります。
失業保険/退職理由 | 会社都合 | 自己都合 |
支給開始日 | 7日後 | 7日+3カ月後 |
給付日数 | 90日〜330日 | 90日〜150日 |
離職票の退職事由をチェック
会社都合と自己都合の失業保険に大きな差があることがわかりました。よって、離職票に書かれている退職事由が非常に重要なのです。会社都合なのに、自己都合となっているのはよくある話です。これは、その会社がイメージダウンを防ぐためと、雇用保険から貰える助成金を減らされないようにするためなのです。
退職届で「一身上の都合」と書いていても、実際の理由は会社都合に相当する場合があるので、ハローワークの担当者にその旨を申し入れましょう。退職事由を自己都合から会社都合へ変更してくれる場合があります。
退職事由でトラブルを避けるためには
退職勧奨など、明らかに会社都合なのに退職届を求められたときは、離職票に記載する退職事由は会社都合にすることを確認してから提出することでトラブルを防ぐことができます。書面が望ましいですが、やり取りの録音でも構いません。
違法な残業で会社を辞める場合には、タイムカードのコピーを取っておくことです。併せて、自分の手帳に実際の労働時間をメモしておくことによって、違法残業があった証明になります。
まとめ
自己都合退職の最大のデメリットは、3か月間失業保険が貰えないことです。さらに給付期間も短く、会社都合に比べて非常に不利な条件になっています。本当に自己都合で辞めたなら仕方ないですが、そうでなければハローワークの担当者に相談しましょう。
ブラック企業のような会社に勤めていて辞めるのであれば、証拠を集めてから退職することによって、スムーズに会社都合での失業保険の受給ができます。本当は会社都合なのに自己都合にされた場合、泣き寝入りをしてはいけません。